
01
契約の本質
色分け ― 紺=ラボ型(柔軟・プロセス基準)/朱=請負型(固定・成果基準)
ラボ型契約請負型契約
準委任契約
ラボ型契約
Labo-gata ・ 準委任 ― 「役務」を提供
一定期間、専任チームを確保し、投入した工数・時間に応じて報酬を支払う契約。受託者は善良な管理者の注意をもって業務を遂行しますが、特定の成果物の「完成」は約束しません。
- 報酬
- 工数・時間ベース(人月)
- 義務
- 善管注意義務(誠実な遂行)
- 完成責任
- なし
- 仕様変更
- 柔軟に対応可能
- リスク
- 発注側に寄る
請負契約
請負型契約
Ukeoi-gata ・ 請負 ― 「成果物」を提供
あらかじめ定めた成果物(仕事の完成)を約束し、納品する契約。報酬は成果物の完成・引渡しに対して支払われ、金額は固定(一括)が一般的です。
- 報酬
- 固定金額(成果物ベース)
- 義務
- 完成責任(必ず仕上げる)
- 契約不適合責任
- あり(瑕疵の担保)
- 仕様変更
- 変更契約が必要
- リスク
- 受託側に寄る
02
観点別 比較表
各行は、契約・運用で実際に問われるポイントです。
| 観点 | ラボ型契約準委任 | 請負型契約請負 |
|---|---|---|
| 対象何を売るか | 労働・役務の提供 ― チームの時間とスキル | 完成した成果物 ― 仕事の結果そのもの |
| 完成責任 | なし ― 成果物の完成義務は負わない | あり ― 完成・納品して初めて報酬 |
| 報酬算定方法 | 工数(人月・時間)ベース。月額が安定し予算化しやすい | 範囲に対する固定金額(一括)。総額が最初に確定 |
| 契約不適合責任瑕疵担保 | 原則なし(成果物を保証しないため) | あり ― 修補・減額・損害賠償の対象 |
| 仕様変更要件の変化 | 非常に柔軟 ― アジャイル・要件流動に強い | 硬い ― 範囲変更は再見積・変更契約が必要 |
| 向いているケース | 長期・要件が固まらない・チームと知見を維持したい | 範囲が明確・仕様が確定・一括で外注しリスク移転したい |
| 発注側リスク | 高め ― 成果が不確実でも工数分を支払う。管理が必要 | 低め ― 完成しなければ支払い不要。リスクは受託側へ |
03
2つの働き方
ラボ型はアジャイル(スクラム)の反復サイクル、請負型はウォーターフォールの一方向フローで進みます。
ラボ型(準委任)
アジャイル / スクラム01
プロダクトバックログ
02
スプリント計画
03
設計(基本・詳細)
04
開発・デイリースクラム
05
スプリントレビュー
06
ふりかえり(レトロ)
↻
次のスプリントへ繰り返し
最初のステップへ戻る(アジャイル反復)
スプリント(1〜4週間)を繰り返し、要件の変化に対応しながら継続的に価値を届けます。工数は月次で精算。
請負型
ウォーターフォール01
要件定義
02
設計(基本・詳細)
03
実装・開発
04
テスト
05
納品・検収
06
支払い
✓
完了
成果物の納品で契約が完結
各工程を上流から順に進め、前工程の完了後に次へ。定めた成果物の納品で契約が完結します。
04
準委任には2つの型がある
2020年の民法改正で明確化 ― 報酬条項を作る際に重要です。
履行割合型
実施の割合で支払う
投入した業務量・時間に応じて報酬が支払われ、最終的な結果は問いません。人月で算定する、典型的な『ラボ型』です。
成果完成型
成果の達成で支払う
合意した成果の達成に報酬が連動しますが、請負のような『完成責任』は負いません。履行割合型と請負の中間で、混同しやすいため契約書での明記が必要です。
05
どちらを選ぶ?
要件の明確さと、どちらがリスクを負うべきかで選びます。
ラボ型(準委任)を選ぶ
こんなとき- ✓要件がまだ固まらず、進めながら変化・探索する(アジャイル・R&D)
- ✓長期プロジェクトで、安定したチームと知見を維持したい
- ✓発注者も優先度調整に関与し、柔軟にバックログを回したい
- ✓作業量の見積りが難しく、固定金額での外注が困難
- ✓フェーズに応じてチームを増減(スケール)したい
請負型を選ぶ
こんなとき- ✓範囲と仕様が明確で、具体的な成果物を確定できる
- ✓総額を最初に把握したい(固定金額)。予算承認が容易
- ✓完成のリスクを受託者に移転したい
- ✓一回限りの作業で、明確な納品マイルストーンがある
- ✓日々のプロセス管理は不要/したくない
本ページは社内向けの解説であり、正式な法的助言に代わるものではありません。具体的な条件は締結した契約書によります。


